「腸」と「脳」はつながっている ― 内視鏡室で感じること
2026/09/16今日は、大腸検査の現場に入っていてふと感じることをお話ししたいと思います。腸の状態は、気分や頭の働きと実はものすごく関係しています。看護師として現場で感じてきたことを交えながら、「腸と脳のつながり」についてお伝えします。
腸は人体最大の免疫器官
まず知っておいてほしいのは、腸は人体で最大の免疫器官だということです。体全体の免疫細胞の約60%以上が腸に集まっています。
「腸活」がよく話題になるのは、単に便通の話だけでなく、免疫を中心に体を整えるという意味合いが大きいからなんです。
脳と腸は双方向にやりとりしている(脳腸相関)
脳と腸は、自律神経・ホルモン・免疫系を通じてお互いに影響を及ぼし合う、双方向のネットワークでつながっています。これを「脳腸相関」と呼びます。脳と腸をつなぐ仕組みは、大きく3つあります。
① 自律神経(迷走神経)
迷走神経を伝って、脳の状態が腸の動きに影響したり、逆に胃腸の不調が脳へ信号を送ったりします。人前で話すのが苦手な方が緊張するとお腹が痛くなったり、仕事のストレスで便秘がちになったりするのは、脳から腸へ信号が送られている一例です。逆に、お通じがすっきりしないときにストレスを感じやすくなる、ということも起こります。
② ホルモンと神経伝達物質
精神を安定させるセロトニンは、実はその多くが腸で作られています。メンタルや睡眠の質に大きく関わっています。
③ 腸内細菌(腸内フローラ)
最近では、腸内細菌が脳の働きやストレス反応にまで影響を与えるという「脳腸内細菌相関」が注目されています。
現場で感じること
これは教科書的な知識というより、現場での実感として感じていることなのですが、大腸検査の際、年齢にかかわらず腸内環境が良い方は検査もスムーズに進むことが多いように思います。検査前には洗浄液を1L、さらに水を1L飲んでいただくのですが、この過程もスムーズに終わることが多いんです。
お話ししていても説明の理解が早く、わからないことをメモされたり、あとで質問してこられたり。逆に、認知症のある方などは洗浄液がなかなかきれいにならず、下剤を使っても検査が進みにくいことがあります。
皆さんも、「なんだか頭がぼーっとする」「集中力が続かない」というとき、実は腸のコンディションが関係しているかもしれません。
呼吸ケアと腸活のつながり
私自身が行っている呼吸ケアは、主に自律神経・迷走神経に働きかけるものです。呼吸によって自律神経を整えると副交感神経が優位になり、心身が落ち着いた状態をつくることができます。それが腸内環境を良くすることにもつながります。
さらに、横隔膜を使った呼吸は物理的に「腸もみ」のような効果ももたらします。だからこそ、呼吸は腸活にとても良いということをお伝えしたいのです。心と体の土台づくりにつながっていくと思っています。
今日から何か特別なことを始める必要はありません。まずは、自分の腸の調子にちょっと意識を向けてみることから始めてみてください。
私自身、不規則な勤務のせいで食生活が偏りがちです。「野菜を食べよう」と思っていても、疲れていると卵かけご飯だけで済ませてしまうこともあります。それでも、「今日は少し整えなきゃな」と気づくことから始めてもらえたらいいなと思います。